加齢黄斑変性・黄斑円孔

主な症状

新生血管が黄斑に発生する滲出型の場合、そこに出血や血液中の水分が染み出すことで、その場所に関係する視野に異常がみられるようになります。初期の段階では、見ようとする部分の直線がゆがんだり、真ん中が暗く見えたりします。さらに病状が進行すると、出血や染み出しが増加していき、視力低下のほか、色の識別もつかなくなります。なお、萎縮型の場合は、組織の損傷が緩やかに拡大し、ゆっくりと症状が進行するので、滲出型のような状態がみられるのは10～20年後だと言われています。

加齢黄斑変性の治療

滲出型の加齢黄斑変性の場合は、速やかに治療を開始します。具体的には、レーザー光凝固、光線力学的療法、抗VEGF療法があります。このうちレーザー光凝固は、活動性の高い新生血管が中心窩から離れた場所にあるときに選択します。患部にレーザー光線で焼き潰すレーザー光凝固を行うことで新生血管の進行を食い止めます。なお、レーザー光線で新生血管を焼き潰す際には、同時にその周辺にある正常な組織も焼き潰すことになるので、レーザー光線を当てた部分に応じて見えない場所もでてきます。

光線力学的療法（PDT）は、中心窩に新生血管がある場合に用いられることが多いです。腕の血管から光感受性物質をあらかじめ体内に注入します。そして新生血管に薬剤が多量に入ったところで、そこに向けて弱いレーザー光線を照射します。これによって新生血管の中に届いた光感受性物質が光に反応して活性酸素を出します。この活性酸素は毒性が強く、新生血管を損傷する効果があります。光線力学的療法で使用するレーザーは熱がほとんど出ないので、中心窩の視細胞が焼けることはありません。ただし、視力の良い患者様は、視力低下の可能性もあるので、通常は視力が0.5程度まで下がってから行われます。

抗VEGF療法は、新生血管の成長を促すVEGFの働きを抑える薬剤を眼球に注射します。これによって新生血管を縮小させていきます。滲出型の加齢黄斑変性では、新生血管が脈絡膜から網膜に向かって発生し、出血を起こすなどして網膜に障害をもたらします。この新生血管の成長を止めることで、縮小させます。1回の治療は短時間で終了しますが、繰り返し注射を打つ必要があります。現在、加齢黄斑変性の第一選択となることが多い治療法です。

主な症状

黄斑は網膜の中でも最も視力に鋭敏な中心窩と呼ばれる部分を囲っています。そのため、ここに穴が開いてしまうと、周囲の景色が極度にすぼまって見えるなど、特徴的な症状が現れます。視力も低下してしまい、患者様のなかには0.1以下になる場合もあります。年齢別では、50歳以上の中高年者に発症することが多く、男性より女性に多いと言われています。また、片眼に発症した方は、反対眼にも発症しやすいことが分かっています。

黄斑円孔の治療など

黄斑円孔は、眼底検査や光干渉断層計によって診断することが可能です。こうした検査によって黄斑円孔と診断されたときは、手術を行います。お薬による治療を希望される方も多いのですが、黄斑円孔は手術による治療が必要です。具体的には、黄斑を引っ張っている硝子体を切除し、眼球内にガスを注入します。注入されたガスが黄斑部を接触させることによって、数日以内に円孔が完全にふさがれます。ただし、術後数日間は生活上の制限があります。なるべく、仰向き以外の姿勢を維持するようにしてください。