単焦点眼内レンズについて
水晶体の代わりとなる眼内レンズには、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズがあります。このうち単焦点眼内レンズは、近く、あるいは遠くのどちらか一方の距離にのみ焦点が合います。人間の眼は、もともと近くでも遠くでもピントが合うようになっていますが、単焦点眼内レンズの場合、焦点をどちらかに決める必要があるのです。従って、見えにくい距離については近視用メガネや老眼鏡を使用することで矯正していきます。そのため手術後もある程度の不便さを感じることになりますが、保険は適用されますので、経済的負担は少なくて済みます。
多焦点眼内レンズについて
通常、保険内で眼内に挿入するレンズは単焦点レンズのため、ピントの合う範囲が限られているため(老眼が残存し)、見たい距離によっては眼鏡装用が必要です。近年、高機能の眼内レンズが開発され、眼鏡装用をできるだけかけたくないという方には、「多焦点眼内レンズ」という選択肢が出てきました。
眼内レンズの種類
- ①単焦点レンズ
- ある1点の距離に焦点を合わせています。ピントを合わせた距離のものがクリアに見えます。ピントの合わない距離のものを見るには眼鏡が必要です。単焦点レンズは医療保険給付の対象となりますので、通常の割合の自己負担のみです。
- ②2焦点レンズ
- ある2点の距離に焦点を合わせています。遠方と近方が見えるため、眼鏡装用を減らすことができます。
- ③3焦点レンズ
- ある3点の距離に焦点を合わせています。遠方、中間、近方が見えるため、2焦点よりもさらに眼鏡装用を減らすことが期待できます。
- ④焦点深度拡張型レンズ
- 遠方から中間距離まで連続的に焦点を合わせています。近方はやや見にくいため軽い老眼鏡は必要なことが多いです。
眼内レンズの相違点
- 単焦点眼内レンズ
-
- ピントが1点にだけ合うレンズです
- どの距離にピントを合わせるのかは、事前に医師と相談のうえで決めます
- ピントが合う距離以外は、近視用メガネなどで補正します
- レンズ代も手術費用も保険が適用されるので、経済的負担が少なくて済みます
- 多焦点眼内レンズ
-
- 遠い場所と、近い場所の2ヵ所にピントが合うレンズです
- 2焦点に加え、その中間距離にもピントが合う3焦点タイプもあります
- 眼鏡の使用頻度を減らすことができます
- 焦点を合わせるのに慣れが必要です
- 単焦点眼内レンズよりも患者様の経済的負担は大きくなります
- 薄暗い場所や夜間にライトなどをみると、光の周辺に輪がかかって見えたり、まぶしさを感じることがあります
ハロー・グレア
光の周りに輪がかかって見える現象をハロー、光がギラついて眩しく感じる現象をグレアといいます。多焦点眼内レンズは光を分散させるため、特に夜間運転時にこれらの現象が生じやすく、ライトが眩しく感じる症状が出やすくなります。
特に回折型2焦点の眼内レンズで生じやすいとされていますので、診察の際、医師とご相談ください。
多焦点レンズの治療費
多焦点眼内レンズの種類 | タイプ | 金額(片眼)(税込) |
---|---|---|
テクニスマルチフォーカルワンピース | 2焦点 | 205,000円 |
テクニスシンフォニー | 焦点拡張型 | 227,000円 |
テクニスシンフォニートーリック | 焦点拡張型・乱視矯正 | 260,000円 |
パンオプティクス | 3焦点 | 331,000円 |
パンオプティクストーリック | 3焦点・乱視矯正 | 364,000円 |
シナジー | 連続焦点型 | 331,000円 |
シナジートーリック | 連続焦点型・乱視矯正 | 364,000円 |
ファインビジョン | 3焦点 | 353,000円 |